【完】天体観測 ~キミと見た星~


その音を聞いて
やっと…やっと実感が湧く。

「…っう…ぅ…」

私の頬に涙は伝った。

「12月4日21時47分…。ご愁傷様です…」

近くにいた、医師がそう告げる。

木下くんは微笑むように、眠った。

「涼介ぇえ!!涼介ぇええええ!!」

おばさんとおじさんの、どうにもならない感情が、病室に響く。

ああ…

どうして…
どうして…ですか?

木下くんは…どこへ行くのですか?

もう、戻ってこないの…?

「木下くん…っ私…やだよぉおお!!」

遅い、どうしようもない涙が流れる。

「鈴原…」

椎名くんがソッと私の方を触る。

「うぅ…っう~…っ」


わかった。

ようやく、わかった。

木下くん、ごめん。

私、気付くのが遅かったよ。


私、

私ね…


< 139 / 191 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop