【完】天体観測 ~キミと見た星~
そしてふと、私は思った。
もうすこしで、私の命が尽きてしまうなら…
今したいこと、
やりたいことを、実現したい。
「ねぇ、椎名くん」
美冬が帰った後の夕方。
私は椎名くんに頼むことにした。
「なに?」
「我儘言って良い?」
「うん、いいよ」
椎名くんはそう言って優しく笑った。
その笑顔にきゅうっと胸が締め付けられる。
「…私、学校へ行きたい。また、もう一度…。」
「うん」
「それと、海にも行きたい!海と空が綺麗に見れる所」
「うん」
私の話を、椎名くんは笑って頷いて聞いてくれる。
「あと…もう一度、…椎名くんと二人で天体観測したいな…」
「…わかった、いいよ」
椎名くんは笑顔で立ち上がると、そのまま病室から出て行った。
「??」
なにも言わずに急に出て行ったから、私は驚く。
私、我儘言い過ぎちゃった…?
少し、不安になる。