【完】天体観測 ~キミと見た星~
星夏が羨ましい。
皆に恵まれてて、
椎名に想ってもらってて。
でも肝心の本人は気づいてないんだろうな。
「おい翔太!!ちょっと来い」
椎名は南に腕を引っ張られながら、どこかへ行ってしまった。
あ、そういえば。
南は椎名に星夏が病気の事、聞いてなかったもんね。
それでさっきから浮かない顔してたのかな?
「星夏」
私は星夏に声をかける。
「あ、美冬ー」
星夏は笑顔で私の顔を見る。
その笑顔に胸が痛んだ。
羨ましいなんて…
本当、馬鹿なこと思ったな。
一番、我慢して、辛い想いしてたのは、星夏なのに。
椎名の事が好きでも「好き」と言わず、相手の事を考えて我慢してるのは星夏だったのに。
「楽しそうだね」
だけど、
「うんっ!皆来てくれて…本当幸せっ」
「良かったね」
羨ましい。