【完】天体観測 ~キミと見た星~
「まだ2月だからな~」
冷たいけど、浸していたい。
しばらく無言で、二人ともずっと水に足をつけていた。
「あのさ、」
先に口を開いたのは、椎名くんだった。
「んー?」
「覚えてる?」
「…なにを?」
「約束」
「約束?」
「うん。天体観測の約束」
「あ…うん」
覚えてるよ。
ちゃんと。忘れるわけないもん。
そんな最高の約束…。
「もうすぐだな。俺らもあと少しで卒業じゃん?」
「うん、そうだね。…私、卒業式行けないけどね」
「それでも、卒業は卒業。行こうな。綺麗に見える所」
「うん。絶対に行こうね」
「俺、もう見つけたんだ。綺麗に星が見える所っ」
「えっ!?どこどこっ?」
「まだ秘密。楽しみは当日までとってて」
「わかった」
楽しみだな。天体観測…。
私、絶対に椎名くんとの約束を果たすまで死なない。
死んでたまるもんか。
「あとさ…もうひとつ。約束追加して良い?」
「…え?」
急に、椎名くんの顔は真剣になった。
なんだろ…。
私の胸はザワザワした。
「良いよ…?なに?」
「…あのさ――…」