【完】天体観測 ~キミと見た星~
―コンコンッ
ドアを二回叩いて、鈴原の病室に入る。
「よっ」
ベッドの上には、元気そうに笑ってる鈴原が居た。
「椎名くん、来てくれてありがとう!……その荷物は?」
俺の手に持ってるデカイ荷物を指さして、鈴原は聞いてきた。
「あぁ、コレ。天体望遠鏡」
「えっ!天体望遠鏡!?」
「うん。家にあったから引っ張りだしてきた」
「すっごーい」
俺は鈴原の横に座って、天体望遠鏡を見せる。
鈴原は興奮したように天体望遠鏡を見入る。
「私ね!天体望遠鏡で天体観測してみたかったの!だけど、天体望遠鏡って高いじゃん?だからなかなか…」
「なら今日初めて天体望遠鏡使うってこと?」
「うん!」
「良かった」
俺は笑った。
今日は楽しい夜になりそうだ。
「よし、もう星出てきてるし、行くか?」
「そうだね」
俺は、鈴原の車椅子を出して来て、鈴原の前に置く。
「肩借りるね」
「おぉ」
ゆっくりとベッドから起きあがった鈴原は車椅子に乗る。
「じゃあ出発!」
「あははっ」