【完】天体観測 ~キミと見た星~
私はそれから、よく椎名くんと喋るようになった。
理由?
たぶんないよ。
ただ、気が合いそうだったから。仲良くなれそうだったから。
それだけだと思う。
病気のこと、椎名くんには言ってない。
他の友達にも言ってないんだもん。
知ってるのは、幼なじみの美冬だけ。
椎名くんに言いたい自分がいる。
でも、言ったらきっと離れちゃいそうで、言えないんだ。
「鈴原、これ食べる?」
机に座って窓をボーッと眺めてたら、椎名くんが喋りかけてきた。
お菓子を差し出して。
「え、良いの?」
「うん、なんか今日のお前ボーッとしてるから、これ食って元気出せよ」
私は、じゃあ…と言って椎名くんからお菓子を貰った。
これ食べたら元気だそう!
「鈴原…、なんかあったのか?」
「え?なんにもないよ?」
なんにもない…はず。
だって、病気だって異常なしだったし…
むしろ嬉しいはずだと思うんだけど…
「お前の顔が元気なさそう」
椎名くんはそう言った。
わかるの?
私のことが椎名くんには全部わかっちゃうのかな?