【完】天体観測 ~キミと見た星~
―翔太side―…
鈴原と、二度目の天体観測を、今、してる。
一度目の、天体観測した日をおもいだした。
あの時は、妙に汗かいてたな。
正直、鈴原の病気が怖かったから。
だけど、今はそんな事は無い。
鈴原と見てる、星が綺麗だからかな。
俺に、力をくれてるからかな。
「椎名くん」
「ん?」
「星、綺麗だね」
「ああ」
「好きだよ…」
「……え?」
「………」
ビックリして、目を見開いてしまう。
好きって…??
「…え…ああ。星が、ね」
そんな簡単に言ってくれるわけないか。
俺は思い出すだろう。
この先、何年たったとしても、この日を。
だって、体が覚えてる。
鈴原も、そうだろ…?
「…椎名くん…」
「んー?」
「………」
「………」
横にいる俺の手を、ゆっくりと、握る鈴原。
その手は、温かくて、小さくて、柔らかくて…。
俺が普通に握り返したら、壊れてしまいそうだった。
「鈴原…」
だから、俺はゆっくりと、優しく。
鈴原の手を、握り返した。
「好きだ」
想いをこめて――……