【完】天体観測 ~キミと見た星~
「鈴原…頼むから…“好き”って言ってくれよ…。お前の口から聞いたことねぇよ」
そんな俺の願いは…一生叶う事はないだろう。
だって…
彼女は今、目を閉じて、微笑んで…
天国へ旅立ってしまったのだから。
こんなことってあるか?
ありえるか?
…理不尽すぎるだろ。
「寒いな。…もう、中に入ろうか。」
俺は鈴原の車椅子を押して、屋上を後にする。
鈴原の背中を見ると、涙がまた出てきて、抱きしめたくなった。
「鈴原っ…」
俺は、彼女の背中を抱きしめる。
心から、抱きしめる。
一生、大好きだ。
絶対に、離さない。
…鈴原…―――