【完】天体観測 ~キミと見た星~


「鈴原…頼むから…“好き”って言ってくれよ…。お前の口から聞いたことねぇよ」

そんな俺の願いは…一生叶う事はないだろう。

だって…

彼女は今、目を閉じて、微笑んで…

天国へ旅立ってしまったのだから。


こんなことってあるか?
ありえるか?

…理不尽すぎるだろ。


「寒いな。…もう、中に入ろうか。」

俺は鈴原の車椅子を押して、屋上を後にする。

鈴原の背中を見ると、涙がまた出てきて、抱きしめたくなった。

「鈴原っ…」

俺は、彼女の背中を抱きしめる。

心から、抱きしめる。

一生、大好きだ。

絶対に、離さない。

…鈴原…―――



< 172 / 191 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop