【完】天体観測 ~キミと見た星~



これは本当に、心残り。

椎名くんと、「好き」って言いあえてないし、キスも出来てない。

だからね。

私が生まれ変わった時、もう一度出会おう。
その時、言うから。

「好き」

って言うから。
そして、天体観測をしよう。

私、椎名くんとした天体観測、すっごい覚えてるんだ。

匂いとか、温度とか、少し緊張して滲んだ汗とか…。

恥ずかしいような、嬉しいような。
そんな天体観測だった。

生まれ変わっても、また同じような天体観測がしたいからね。

忘れないよ。
だから、椎名くんも忘れないでね。
私の事…忘れないでね。

私は、一足先に、木下くんの所に行って椎名くんを見守っています。

椎名くんも、時々、私を…思い出してね。

またね、さようなら。


星夏より

~~~~~~~~~~


「…星夏…っ」


その時、俺は初めて鈴原の事を下の名前で呼んだと思う。

俺も忘れるかよ…。
忘れるわけねぇだろ?

お前と過ごした短くて深いこの半年。
絶対忘れない。

木下のところにいったって、もしかしたら木下が星夏に近づくかもしれない。
そんなことがないように、俺はずっとお前を想いだすから。

だけど…

「星夏ァっ…」

だけど、俺はまだ弱いんだ。

だから、お前がいないこの世は…辛いんだ。

「俺は…どうしたらいい…?」

星夏なら、どう俺に言ってくれる?


< 180 / 191 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop