【完】天体観測 ~キミと見た星~
「なんだ、お前も来たのか?」
「まあね。この夏になると、無性に星夏と話したくなるんだ」
「俺も」
たしかに。
このジリジリと暑い夏になると、無性に星夏と話したくなる。
前みたいに一緒にアイスを食いたくなる。
「どう?仕事」
優木は星夏の墓の前に座って、花を置き、手を合わせながら俺に話しかけてきた。
「ボチボチかな。お前は?美容師やってんだろ?」
「うん。この間、腕があがったって褒められたの」
「すごいじゃん」
「でしょ。…この手で、星夏の髪を綺麗にしたかったのに」
「………」
「なんて言ったら、星夏は言うだろうね。“まだそんな事言ってる”って、呆れると思う」
「たしかに。星夏ならそう言いそう」
「…えっ!?」
急に驚いた声を出す優木。
俺、なにか言った?
「…なに?」
「今…“星夏”って言った!?」
「ああ…、うん」
改めて優木にそう言われて、俺は少し照れた。