【完】天体観測 ~キミと見た星~



―――――――…………



「ふぅ…」


午後10時。

俺は家の小さなベランダに、天体望遠鏡を持っていく。


「星がいっぱいだ…」


小さいながらも、一生懸命輝く星たち。

俺は椅子を出して、そこに座り、望遠鏡をのぞく。


この瞬間。


きっと俺は、一日の中で一番怖い顔をしてると思う。


怒ってるとかじゃなくて、ただ、必死に。

君に涙を見せないために、



力を入れて我慢する。




五年も経った。


だけど、


まだ五年で、俺は『前へ進んでる』はずだけど


実は『前へ進もうと頑張ってる途中』で……。




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