【完】天体観測 ~キミと見た星~
「星夏、今日はデネブ、ベガ、アルタイルが綺麗に見えてる」
夏の大三角形が俺を見降ろす。
星夏。
今日、お前の墓に、初めて行ったよ。
五年経って、ようやく。
『前へ進もうと頑張ってる途中』だからな。
一歩、確実に、進めた気がした。
だけどたしかに、かなしく感じたんだ。
どうしようもない、感情が俺を襲った。
だから、今日も天体観測をする。
もしかしたらいつか、天体観測をしなくなる日が来るかもしれない。
だけど、それは鈴原星夏を忘れたんじゃない。
君を過去に出来たっていう事なんだ。
俺はまだ、とうぶん。
君を過去に出来そうにないみたいだけど。