【完】天体観測 ~キミと見た星~
★―翔太side―…★
俺はなにも知らずに鈴原といたんだ。
あの時病院にいたのも、病気が理由だったんだ。
そう考えれば、ぜんぶ話は合う。
「桜ケ丘総合病院だよ」
「え?」
「…行ってあげてよ。星夏のところ」
優木は寂しげな表情で言う。
「優木…」
「星夏は、待ってるよ。悔しいけど、私より椎名のこと待ってる」
そう言って笑う優木の顔はやっぱり寂しそうだった。
「お前…よっぽど、鈴原の事好きなんだな」
「うん」
笑う優木。
優木は優しい奴だ。なんて思った。
「じゃ、ちゃんと行ってげてねー」
優木は椅子から立ち上がると、教室を出て行った。
その優木の背中に俺は
「言われなくても行くっつーの」
ボソッとそんなことをはいた。