【完】天体観測 ~キミと見た星~
「は?行ってねーの?」
いつもどおりだけど、いつもどおりじゃない学校の、廊下の階段で俺と弘樹は話してた。
「おいおい、行けよ。鈴原のとこ」
弘樹にはさすがに鈴原が病気だとは言っていない。
酷く体調を崩して家で休んでいると言っておいた。
「……」
「まぁ、体調酷いみたいだし、行っても会えるかわからねぇよなー」
会えるよ。
会えるけど、なんだか行けないんだ。
どうせまた、退院したら、鈴原は学校に来るんだろうけど…。
「え、椎名行ってなかったの?」
俺と弘樹が話しているのを聞いていたのか、ひょこっと現れた優木が話に加わる。
「あー……うん…」
「なんでっ!」
「いや…、なんだろ?」
曖昧な事を言って、誤魔化した。
まぁ、理由は俺も自分の事だけど、よくわかんねぇんだけど。
「早く会いにいってあげてよっ」
なぜか優木は俺を急かす。
「別に…そんな思い病気じゃねぇんだろ?」
「………」
黙る優木。
なんだよ…。また黙りやがって…。
俺はちょっと心配になった。
そしたら弘樹が…
「え?なに?病気…?」
やばい。と思ってすぐに誤魔化す。
「いやー…風邪も病気だろ?」
「…あーまぁな。」
なんとか誤魔化せたみたいで一安心。