【完】天体観測 ~キミと見た星~


―星夏side―…

今日もまた私はベッドの中。
外は晴れてて、病院の庭で、元気な子供たちが走り回って遊んでいた。

私の病名は脊随小脳変性症(セキズイショウノウヘンセイショウ)。
簡単に言うと、運動や日ごろの生活が苦になっていくという事。
お箸も碌に持てなくなって、車椅子に乗らないと歩けない。

今はまだそれほどまで酷い状態じゃないけど…
そろそろ私にも限界が来るだろう。

「……」

お母さんは今日、用事で来れないって言ってた。
美冬も用事が出来て、来れないって…。

つまり私は、今日一日本当の暇人ということ。

「……」

さっきからなにもすることが無くて、困っている。

―コンコン―…

することが無くて、寝ようとした時、病室のドアが開いた。
お母さん?って思ったけど、現れたのはお母さんじゃなくて…

「…椎名…くん…?」

息を切らした椎名くんだった。
え?なんで?
頭は混乱状態。
すると、椎名くんは息を整えて静かに言った。

「お前…病気なら…ッそういえよっ」

少し怒ってるのか、椎名くんの声はいつもと違った。

「…美冬が椎名くんに言ったんだってね。一々言わなくて良いのに」

椎名くんから目を逸らして、言ったけど、本当はこんなことを言いたいんじゃない。
すごく久しぶりに会って、涙が出そうだった。

椎名くん!会いたかったよ!

一番にそれを言いたいのに、私は言っちゃいけないんだとブレーキをかけた。


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