【完】天体観測 ~キミと見た星~
「なんで俺に教えてくれなかったんだよ」
「言うまでの仲じゃなかったかなぁって」
「なんだよそれっ」
「…『んなわけねぇだろ、俺と鈴原が?ありえねぇって』」
「…は?」
「覚えてる?あの時、椎名くんがこう言って否定したんだよね」
「…聞いてたのか?」
「うん。それ聞いて、ちょっと傷ついた。たしかに、そんなに仲良くなかったなって思ったの」
「………」
「だから椎名くんと距離置いたの」
「…ごめん!そんな…俺の所為だよな。本当にごめん!!」
椎名くんは深く頭を下げて謝る。
「あの時は、ああいうしかなかったんだよ。でも…本当は…、本当は鈴原と仲良くしたいんだよ…っ」
「…謝らないで…」
椎名くんの言葉が嬉しかったのか、私の頬に涙がつたわる。
「嘘なの…ッ!距離を置いた理由は…」
「え?」
「良いチャンスだって思ったの…!私、病気だし…、このまま椎名くんと距離置けるって」
「……」
「でも違った!いつもいつも…頭は椎名くんばっかだった…」
「鈴原…」
椎名くんに“好き”とは言わない。
だけど、“仲良くしたい”って言うのは…良いよね…?
「私だって前みたいに椎名くんと仲良くしたい…ッ」
すると、椎名くんは笑って言った。
「じゃあ、これで仲直りなっ!」
「え…」
「見舞いだって毎日来てやるよ!お前が学校来れるまで待ってるよ!だから…お願いだからもう、病気だからって距離を置こうとしないでくれ…」
「…ありがとう…」
私はその時、わかたって言えなかった。
きっとまた、私は病気だからって、椎名くんと距離を置くと思ったから…。