【完】天体観測 ~キミと見た星~
次の日。
またいつものつまらない日々を過ごしていた。
薬を飲んで、少し運動をして…
口を動かすために発音練習したり、字を書く練習。
今は普通に出来る。
全部簡単にこなす。
だけど、どれも失ってしまう。
そうならないように、入院しててもなるべく今までの生活のようにすごしてるんだけど、失うとわかってるから、やる気も出ない。
「はぁ…」
「そんなに溜息ばっかつかないのー」
「溜息も出るよ…」
「………」
夜の8時。
時計を見て、昨日の事を思い出した。
―コンコン―…
こんな時間に誰?っと思って扉の方を見ると…
「え…っ!」
「よぅ」
椎名くんが立っていた。
「なんで!?」
「行くぞ、ほら、」
椎名くんが私の手をつかんで、ベッドから引っ張る。
「ちょっ!どうしたの…っ!?」
「天体観測だよ。行くんだろ、ほら」
「え!」
半分無理やりな感じで、ベッドから下ろされた。
そして、私はそのままこける。
「あっ!ごめん!」
「ほら…、私こんなんなんだよ?もう…放っといて良いよ…」
「何言ってんたよ。俺はもうお前と病気って理由で離れないっつただろーが」
そして、私は軽々椎名くんにおんぶされた。
「きゃっ!」
「これなら問題ないだろ?椅子も持って行くし。」
椎名くんはそのまま、屋上へと連れて行ってくれた。