【完】天体観測 ~キミと見た星~
「あー、見つけた」
すると、今度は優木がやってきた。
「ちょっと椎名!来てっ」
「なんだよ、次から次へと…」
俺だって、ゆっくり昼飯食いたいし。
面倒くさいけど、嫌々立ち上がって、優木のもとへ行く。
「ちょっと、コッチ!」
俺は優木に腕を引っ張られて、誰もいない静かな廊下の隅へと連れて行かれた。
「なに?こんな所…」
「大事な話なの。ちゃんと椎名には言った方が良いと思って…」
優木はいつになくすごい真剣な顔。
これで俺はふざけた話じゃないんだとわかって、真剣になる。
「あのね……、星夏の事…なんだけど…」
鈴原?
鈴原がどうかしたのか?
「…星夏の病気、脊髄小脳変性症って言って、………すごく重いの」
「…知ってるけど?」
「へっ!!?」
優木はなぜか、大きい声を出して、後ずさり…。
「な、ななっなんで知ってるの!?」
「え…、本人から聞いた」
「え!?うそ!!」
「…本当」
「だって…言わないって言ってたのに…」
なんだかよくわからんが、そうとう驚いてるらしい。
「それだけ?」
「へ?」
「話。俺、まだ昼飯食えてないんだけど」
「あー、そう、それだけ。どうぞ食べてきてください」
「じゃあな」
俺は、余程お腹がすいていたのか、少し小走り状態で、戻った。