【完】天体観測 ~キミと見た星~
それからも、鈴原の病はどんどん進行していった。
「椎名くーんっ」
少し離れた所から、鈴原が笑顔でコッチへ小走りでやってくる。
「リハビリ終わった?」
「うん、ちゃんと出来――…」
鈴原の口が止まり、その代り、鈴原の手は尋常じゃなく震えてた。
え?
俺はなんで鈴原の手が震えているのか分からず、首を傾げた。
「……ご、ごめんね。」
鈴原はなぜか謝る。
なんで手、震えてるんだ?
「驚かしちゃってごめん。なんか勝手に手が震えちゃう事あるんだ」
また眉を下げて笑う鈴原。
その鈴原の無理矢理な笑顔が俺の心を掻き毟る。
鈴原が謝る理由がわからなかった。
お前は謝る事なんかしてないよ。
鈴原は必死で、震える手を隠そうとする。
それを見た俺は、鈴原の手をとって、強く握った。
大丈夫。
大丈夫だから。
そう強く想いながら。