【完】天体観測 ~キミと見た星~
「そっかぁ」
「どうして?」
「もし、一日外泊OKだったら、私ん家でお泊まり会しようと思って!どう?」
子供のイタヅラが成功したような、笑顔で美冬は言った。
「いいね!医師に聞いとくっ」
私は、久しぶりに“高校生”らしい事が出来ると思った。
「じゃあ、そろそろ帰るね」
「うん。今度はゆっくり話そうね」
美冬は笑顔のまま、病室を後にした。
美冬のあの笑顔を思い出して、一人でクスクスと笑ってしまった。
さっそく医師に聞いてみようと、思って一階に下りる。
「医師~」
案外、すぐに医師は見つかった。
「あ、星夏ちゃん。どうしたの?」
「ちょっと聞きたい事があって…」
「いいよ。じゃあ休憩所行こうか」
医師は優しい笑顔でそう言った。
そして、医師と一緒に休憩所まで行く。
休憩所に着くと、医師がジュースを買ってくれた。
「はい、どうぞ」
「ありがとうっ」
私は椅子に座って、ジュースを飲んだ。
その私の横に、医師は座る。
「で、話って?」
「あの…私って、外泊して良いですか?」
「え?」
「一日だけで良いんです!」
私は頭を下げて、お願いした。
もしかしたらムリかも…!って心配したけど、医師の答えはあっさり。
「いいわよ」
「へっ!?」
私は驚いて、力が抜けた声が出た。
「別に、今の星夏ちゃんの状態なら、外泊ぐらい問題ないわ。」
「本当!?」
「えぇ。どこか泊まりに行くの?」
「うんっ!友達の美冬んところ!」
「あ~、美冬ちゃんね」
医師も、もちろん美冬の事を知っている。
だって、美冬はよくお見舞いに来てくれてたから。
「その代り、大きな運動はしないこと」
「はいっ」
大きな運動なんて、するわけないし。
私には、簡単に守れる注意事だった。