【完】天体観測 ~キミと見た星~


「そっかぁ」

「どうして?」

「もし、一日外泊OKだったら、私ん家でお泊まり会しようと思って!どう?」

子供のイタヅラが成功したような、笑顔で美冬は言った。

「いいね!医師に聞いとくっ」

私は、久しぶりに“高校生”らしい事が出来ると思った。

「じゃあ、そろそろ帰るね」

「うん。今度はゆっくり話そうね」

美冬は笑顔のまま、病室を後にした。
美冬のあの笑顔を思い出して、一人でクスクスと笑ってしまった。
さっそく医師に聞いてみようと、思って一階に下りる。

「医師~」

案外、すぐに医師は見つかった。

「あ、星夏ちゃん。どうしたの?」

「ちょっと聞きたい事があって…」

「いいよ。じゃあ休憩所行こうか」

医師は優しい笑顔でそう言った。
そして、医師と一緒に休憩所まで行く。
休憩所に着くと、医師がジュースを買ってくれた。

「はい、どうぞ」

「ありがとうっ」

私は椅子に座って、ジュースを飲んだ。
その私の横に、医師は座る。

「で、話って?」

「あの…私って、外泊して良いですか?」

「え?」

「一日だけで良いんです!」

私は頭を下げて、お願いした。
もしかしたらムリかも…!って心配したけど、医師の答えはあっさり。

「いいわよ」

「へっ!?」

私は驚いて、力が抜けた声が出た。

「別に、今の星夏ちゃんの状態なら、外泊ぐらい問題ないわ。」

「本当!?」

「えぇ。どこか泊まりに行くの?」

「うんっ!友達の美冬んところ!」

「あ~、美冬ちゃんね」

医師も、もちろん美冬の事を知っている。
だって、美冬はよくお見舞いに来てくれてたから。

「その代り、大きな運動はしないこと」

「はいっ」

大きな運動なんて、するわけないし。
私には、簡単に守れる注意事だった。


< 66 / 191 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop