【完】天体観測 ~キミと見た星~


―星夏side―…


覚悟は出来てたつもりなんだけど…
でも、いざなってしまうと、それを受け入れるのはかなりキツイ。

「じゃあ使い方の説明するね…」

医師が“車椅子”について説明をし始める。
だけど、医師の言葉は今の私には届かない。

「ここを折り曲げたら畳めるから―…」

医師は気を使いながらも、喋りかける。

私は思った。
どうして私なんだろう?
世界には一億三千万人もの人がいるのに。
どうしてよりによって私なの?
私…なにかした?

「…じゃあ、さっそく乗ってみようか」

医師に言われるがまま、私の体は動く。
杖を使いながら、車椅子にゆっくり座る。

「うん。じゃあ動かしてみようか」

私は車椅子に乗って、車椅子を動かす。
足はあるのに…。
どうして車椅子に乗らなきゃダメなの?

私の足は使えなくなった。

「なんとか出来るみたいだね。じゃあ、後はゆっくり休んでなさい」

医師はそれだけ言い残すと、病室を出て行った。
病室にはお母さんと私だけ…。

「お母さん…ふふっ、笑っちゃうよね」

私は笑いながら、お母さんに話しかけた。

「私の車椅子生活が始まっちゃったよ。…ふふっ」

「星夏…」

馬鹿みたい。
笑えてくる――…






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