【完】天体観測 ~キミと見た星~
その日の夜、椎名くんが来た。
「久しぶり」
椎名くんは相変わらず優しい笑顔でやって来た。
その笑顔に少し、心が落ち着く。
「久しぶり…」
私も笑顔で椎名くんを迎えた。
「…ぇ」
すると、椎名くんはベッドの横に置いてある車椅子の存在に気付いたのか、目を見開く。
「鈴原…これ…」
「そう。私、車椅子生活になっちゃった」
無理して作り笑いする。
椎名くんはひどくショックを受けた顔をした。
…そんな顔しないで…
「俺さ…鈴原の病気について色々調べてきたんだ。だから…」
次の椎名くんの言葉に私は感動した。
嬉しくて嬉しくて…泣きそうだった。
「一緒に頑張ろう」
泣きそうだった…というより、泣いちゃった、の方が正しいかな。
「泣くなよ」
そう言って笑う椎名くんに、また胸がキューっと締め付けられた。
「ありがとう…ありがとう…」
本当は、お礼を言うだけじゃ物足りない想い。
言葉じゃ表せない想いが、私を困らせた。