【完】天体観測 ~キミと見た星~

「好きなんだ?」

なにかを試すかのように、急に木下が俺に質問してきた。

「は?」

「星夏ちゃんのこと。」

「……」

初対面の奴にこんなにイラつくのは初めてだ。
好きだったらなんだって言うんだよ。

「まぁ、ほぼ毎日病院に通ってたら『好き』って言ってるのも同じようなもんか」

馬鹿にしたように、鼻で笑う木下。
…コイツは俺に喧嘩売ってんのか?

「あんたも鈴原が好きなんだろ」

だったらその喧嘩買ってやろうじゃねぇか。

「だったらなに?」

「別に。」

「……君、星夏ちゃんの事諦めなよ」

「なんでお前にそんなこと言われなきゃいけねぇんだよ」

「星夏ちゃんだって、君に気を遣って疲れるだろうし」

「お前になにがわかるんだよ」

「わかるよ。…少なくとも君よりは」

その挑発的な言葉に、頭に血が上った。
嫉妬だ。
全部全部俺はこいつに嫉妬してる。
ずっと鈴原の近くにいれるから。
鈴原の事“星夏ちゃん”って呼んでるから。
俺より鈴原の事……知ってそうだから。

「とにかく、君に星夏ちゃんは不必要だから」

それを捨て台詞に、木下は鈴原のいる病室に戻っていった。

一日中一緒に居る木下と、一日に何時間しか一緒に居れない俺。
くやしかった。

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