【完】天体観測 ~キミと見た星~

―星夏side―…


「医師…どうなの?」

「…なにが?」

診察時間。
お母さんも見守る中、私は医師に質問する。
拳を握りしめながら――…

「私…ろれつが回らなく…なるの」

「そう…」

医師は、一度私から目を離して、机の上のカルテに目を通す。
そして、また私の方を見る。

「余命はハッキリわからないから宣告出来ません。」

その言葉を聞いて、私は少しホッとした。
余命は…やはり分からない方が楽。

「だけど…気持ちの覚悟はしてた方が良いわね」

え…
頭が真っ白になった。
いや、正確に言うと、意味がわからなかった。
気持ちの…覚悟?
…死ぬ覚悟?

「それは…死という意味です…か?」

「そうです」

医師はいつにもまして、真剣な顔で私にそう言う。

「…そ…うですか…」

医師のハッキリとした口調に、それはたしかなんだと実感する。

横に居るお母さんは、顔を背けて、ハンカチを取り出した。
きっと…泣いてるんだろう。


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