【完】天体観測 ~キミと見た星~
俺は病院を出た。
家への帰り道。
鈴原にムカついた。
俺はもう用無しな人間かよ。
そんなに軽い関係だったのかよ。
俺よりちょっと前に会った男をとりやがって…。
ムカついた。
だけど、それより俺の心を苦しめるものがいた。
それは、哀しさと愛おしさ。
もう鈴原に会えないと思った。
もう、あの笑顔を見れないと思ったら…なんでか涙が出ていた。
「…なんだよ…これ…」
俺は歯に力を入れて食い縛る。
拳をぎゅっと握りしめて…、だけど涙は静かに流れ出る。
「意味…わかんねぇ…」
どうしたらキミと一生一緒にいれるんだろう。
どうしたらキミと…結ばれることが出来るんだろう。
俺はこんなにも想ってるのに。
どうして…キミは違うのかな――……