届かない、先生《短編》
撫でられたところに熱を持ったまま、私は森山先生の恋愛論を聞いていた。

やっぱり早いもの勝ちだそうだ。
誰かに取られてからじゃ、もう手遅れになってしまう。

私だって、それくらいは分かってるつもりだった。
だけど、分かってなくて森山先生に言われて改めて痛感した。

「はや告れ!」
森山先生は最後にこう言った。
私がすごく不安そうな顔をしていたのだろうか、森山先生は
「大丈夫。心配することなんかない」
って素敵な笑顔で言った。

私はしっかり頷いた。
それを見たら、森山先生は去って行った。

「森山、良い奴じゃん」
亜希が後ろ姿を見ながら、笑って行った。
「でしょお?」
私も笑って言った。

森山先生は、良い先生だ。
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