届かない、先生《短編》
森山先生は厳しい人だった。

良くいえば、細かいところまで気がつく人。
悪くいえば、細かいところまでネチネチ言う人。

「うざい」
森山先生の代名詞のように、みんなに言われていた。

授業の予習がやってないと怒る。
それが、入学したての私達には“うざい“としか捉えてもらえない。

私も、別に好きではなかった。
嫌いでもなかった。
ただの“担任“

深く関わることなどなかったし、普通の先生と普通の生徒。
ただ、担任もったよってだけの生徒。
そうだと私は思ってた。

森山先生は生徒と特別仲良くしたり、喋ったりとかしない人だった。
私も喋らなかったし、喋ってる人も見なかった。
孤独というよりは、孤高というような人。

だけど私は、入学式の日に時折見せた輝く笑顔が忘れられなかった。
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