届かない、先生《短編》

がくしゅうかい

冬休み学習会がはじまった。
私は、森山先生に年賀状を出したくて、住所を聞きたかったけど、意識しているからこそ、聞けなかった。

「森山喜ぶよ!行っといで」
亜希のそんな応援に、私は大きく頷いて、久しぶりの職員室に足を運んだ。

「先生ー」
森山先生の机まで行き、呼んだ。

「おー!久しぶり!」
森山先生は笑った。
私も森山先生の笑顔が嬉しくて、笑った。

「住所教えて?」
「誰の?」
森山先生はすごい笑顔で聞いた。
「‥へ?先生の」
「はいはい、良いよ」
森山先生は、私が渡したリラックマのメモ帳に、自分の万年筆で住所を書いた。

「田山には出さんの?」
森山先生が聞いた。

私は頷いた。
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