届かない、先生《短編》
職員室から出て、顔のほてりを冷まそうと手を頬に当てて、私は教室に帰った。

もうすぐ次の年。

もうすぐ2年生。

あと2年で卒業式。

森山先生、卒業式の日まで私を特別でいさせてね。

それまでずっと好きでいるから。
卒業式の日に、好きだよって笑って伝えられたら良いな。

私、先生を好きになることなんてないと思っていたよ。
なのに、奥さんも子供もいる人を好きになれるんだね。

不倫なんかしたくない。
家庭を壊したくなんかない。

だからさあ、私好きだよって笑って言うね。
本当は大好きだけど。

遼先生、大好き。

好きになって良かった。
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