届かない、先生《短編》
「わかったあ」
副室長さんも何も思わなかったようで、去って行った。

だけど、みんなの話が上手く噛み合うはずもなくて、結局3日前になっても決まらなかった。

「あみだくじでもなんでも良いで、早く決めろよー」
森山先生もやっと口出しし始めた。

そんなオリエンテーション三日前の掃除のとき。
私が黒板を消してたら横から手がのびて来て、黒板を消した。

「上届かんのかあ?」
森山先生だった。

「届くよっ!」
私は精一杯背伸びして上まで手をのばした。

「ちっちぇなあ」
私は入学式以来見てなかった森山先生の笑顔を見た。

生徒と話してるのをほとんど見たことないけど、私はいま森山先生と話してる。
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