届かない、先生《短編》
「でさあ、誰となりたかったん?」
森山先生は、やっぱりそこが気になるみたいで、私に少し近付いて小声で言った。

私がチラッと森山先生を見ると、散歩に行く前の犬みたいに、楽しそうだった。

「えー‥秀くん」
私は恥ずかしくて、顔を赤くしながら言った。

「へえ!ああゆうのが良いのかあ」
と森山先生は驚いたようだった。
「かっこいい‥じゃん」
私が俯いて言うと、亜希が横から
「かっこよくないわあ」
と言って笑った。

森山先生もそれにつられて笑顔を増して、
「可愛いなあ」
と言って私の頭をぐしゃって撫でた。

「でもまあ‥早いもん勝ちだで」
森山先生がリアルな一言をかました。
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