心友。~友達の彼氏をスキになった。~

「はい」


差し出された藍の手には、さっき捨てたマリアへのプレゼントの包みがあった。



「さっきのことはマリアには内緒な。変に気を遣うのしんどいし」


「けど…」


「じゃ私は帰るわ。後は自分でしっかりやり。マリアはきっと連絡くれると思うよ」


「いや待って、俺送って行くから」


悟が慌てて立ち上がり彼女の腕を掴んだ瞬間、ビクッと藍の体が硬直した。


「あ…」


悟は急いで手を離したが、藍自身自分のその反応にハッと息を飲み、傷付いた真っ暗な目をして呟いた。



「一人で……帰れる」




くるっと踵を返し、藍は改札へと向かった。


さっき苦しい息の中「消えて」と言った藍を思い出し、必死の拒絶に悟は一歩も動けなかった。

< 139 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop