心友。~友達の彼氏をスキになった。~
「はい」
差し出された藍の手には、さっき捨てたマリアへのプレゼントの包みがあった。
「さっきのことはマリアには内緒な。変に気を遣うのしんどいし」
「けど…」
「じゃ私は帰るわ。後は自分でしっかりやり。マリアはきっと連絡くれると思うよ」
「いや待って、俺送って行くから」
悟が慌てて立ち上がり彼女の腕を掴んだ瞬間、ビクッと藍の体が硬直した。
「あ…」
悟は急いで手を離したが、藍自身自分のその反応にハッと息を飲み、傷付いた真っ暗な目をして呟いた。
「一人で……帰れる」
くるっと踵を返し、藍は改札へと向かった。
さっき苦しい息の中「消えて」と言った藍を思い出し、必死の拒絶に悟は一歩も動けなかった。