心友。~友達の彼氏をスキになった。~
熱い鼓動
第一体育室の中は意外と狭く、卓球部員達の熱気で一杯だった。
奥から二面卓球台が置かれてあり、藍の目は一瞬にして部屋の中央の台へと吸い寄せられた。
上級生を相手に、悟がそこで一心にボールを追っている。
サーブを打ち、レシーブで返される打球を、ダンッと踏み込んでスマッシュを放つ。
彼らはそれを延々と繰り返していた。
やがて汗が悟の顎に集まり滴り落ちる。
黒髪が濡れて、スマッシュの瞬間その汗がパッと飛び散った。
「凄い迫力やな」
藍の横でユキが呟いた。
悟の眼差しは真剣にボールを捕らえ、そこだけに全神経が研ぎ澄まされていく。
後輩の女子達が彼のその姿を見て嬉しそうに囁き合っていた。