まこと過ごした暑い夏

出会い

私はよくお母さんに
「どうして私をこんな体で生んだの」
って聞いてたよね。
お母さんは
「愛華、ごめんね」
って言いながら私のために涙を流してくれたよね。

ある日・・・
「愛華、盲導犬を飼ってみない？」
って言われた。
思ってもみなかったからすごくびっくりした。
「いいの・・・」
少し悪いかな、って思ったけど本当はすごくうれしっかた。
「今までよくがんばったね」
その時のお母さんが頼もしくみえた。


次の日・・・
私とお母さんは盲導犬の訓練所に行った。
「こんにちは。あなたが愛華ちゃんね。よろしくね」
この人は盲導犬の訓練士の岡本さん。
「こんにちは。これからよろしくお願いします」
私が言ったら岡本さんは少し言いづらそうに
「愛華ちゃん。これから盲導犬と一緒に暮らすための訓練をしなくてはいけないの。あなたにとってすごくきつい訓練になるわ。覚悟しておいてね」
そう言ってどこかの部屋に入って行ってしまった。
「がんばろうね」
お母さんが明るい声で言った。

少し経って岡本さんが1匹の犬を連れて来た。
岡本さんは私の手をとって、その犬の頭に手をおいた。
「愛華ちゃん、このこがあなたと一緒に訓練をする“まこ”よ」
私はまこの頭をなでながら
「よろしくね」
って言った。


次の日から私は、まこと一緒に訓練をした。
まこはすごくいい子で私のことをリードしてくれた。

まこと一緒に暮らすには、試験に合格しなければならない。
その試験とは、盲導犬と一緒にこれから暮らしていけるかの試験だった。