電話が鳴った。
『解ってるよ。
それに、本当に来られたら
こっちが困るし』
「そもそも俺が行く気ないからな?」
それも解ってる、と少しさみしそうに奴が言った。
『いくら心配させようとしても、
君は絶対来てくれないもんね』
「だってお前はもう死んでるだろ?
それ以上死ぬわけないんだから」
そうだね、と奴が笑い、
2人で声を揃えて笑った。
『まぁ、いつかは君もこっちに来る訳だし、
それまで待ってますよ。何年でもね』
わざとらしいですます調で奴が言った。