籠のなかの花嫁
「じゃぁ、あたしのもありじゃないですか?」


「ありって?」


「ストロベリーチョコとコーヒー味の組み合わせ」



さっきのことを、意外にも気にしていたらしい。



そんなところも可愛いと思ってしまうのが、彼だが。



「コーヒーは食べるより、飲む方がいいんだぞ」


「飲めないんです」


「フッ お子ちゃまだな」



冗談でからかった瞬間




ピキッ──────




少し意地悪が過ぎたのか、とうとう美羽の中で何かが弾けてしまった。




「どうせ、まだまだお子ちゃまですよ」



そう言いながら、早歩きでどんどん晴太を引き離していった。




「おい美羽?」


「・・・・・・・・・・・・・・」


「おい美羽〜・・・」




無視を決め込んで前を進む美羽に苦笑い。



ちょっと言い過ぎたようだ。と思ったのが遅かった。



だが、いつもの冷めた怒りではなく、拗ねたように怒っているのが、晴太は嬉しく思った。



美羽が心を許し始めているのかもしれない。



そう思った。






「っていうか、アイツどこ言ったんだ?」



考え事をしているうちに見失ってしまった。





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