籠のなかの花嫁
「別に、何でもいいだろ?」




美羽から視線を外し、冷たく言い放った。



その言葉に美羽は眉をひそめた。



「そう言う訳にはいきません」


「・・・面倒くせぇ」


「っ・・・・・・」




急に態度を変えた晴太に美羽は更に眉間にしわを寄せた。



“面倒くせぇ”



冷たく言い放たれた言葉にショックを受けたが、怒りが沸々と込み上げる。







「じゃぁ、帰りましょう」




こんな気持ちじゃ、選べない。



手にとっていた服を元の位置に戻し、美羽は歩き始めた。




たが突然、後ろから腕を捕まれた。



振り向くと、晴太が焦った表情をしていた。



「・・・・・・・・・」


「・・・俺が悪かった」


「別に」


「友達にプレゼント選んで・・・」


「今は・・・そんな気分になれません」


「・・・・・・・・・・」


「手を・・・離してください」




為す術もなく、その言葉で晴太はゆっくりと美羽から手を離した。




そして少しの間の後、美羽はため息を一つ。



「それじゃぁ、行きましょう」






そう言って、一人後悔している晴太を残し、歩いていった。






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