籠のなかの花嫁
・  ・  ・



「「え〜?!」」


「もう、勝手に盛り上がらないでよね!」



期待ハズレの言葉に友人二人は肩をガックリ。



実は、梨奈の首の赤い後は確かに蒼司さんのキスマークらしいのだが



「蒼司さんが、今はここまでだよって言ったの」



ということらしい。



結果、友人二人の頭の中の淫らな妄想は塵となったわけだ。




「面白くなーい!」


「ねー!梨奈を苛めるチャンスだったのにー」


「煩い!アンタ達が勝手に暴走しただけでしょ!」


「「はーい・・・」」




シュンとした二人を見て美羽は笑った。



「もう、笑い事じゃないよ美羽。あたしの身にもなってよね」


「ごめんごめん。でも、蒼司さんにちゃんと大切にされてるんだね」



まだ未成年の梨奈を考え、そこまでに止(とど)めたのだろうと美羽は思った。



万が一のことが起こってからでは遅いから。




「うん。あたしね、全然触れてくれない蒼司さんに不安を感じてたの。だから、迫っちゃったんだよね・・・」


「・・・そんなことだろうと思った」


「そしたらね──・・・」




《俺も、梨奈を抱きたいよ》


《だったら・・・》


《でも、ダメ。分かって?絶対なんてないんだ。万が一のことを考えたら、今抱く訳にはいかない》





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