籠のなかの花嫁
「何よそれ!人の彼氏取ったくせに、捨てたわけ?」


「先輩って本当は遊び人なんですね」




1年生の言いたい放題に、梨奈は怒りを露にした。




「よく話を聞きなさいよ!いい?美羽は由良を彼氏にしたこともなければ、アンタから奪ったこともないの!」


「日向君が一方的に好きなだけで美羽は何とも思ってないの!」


「どこで話を聞いたんだか知らないけど、美羽が遊び人だなんてあり得ない」


「本当よ!遊び人は由良の方でしょ?」



その場にいた女子達全員が頷いた。



しかし1年生は



「でも、由良が言ってたんです」


「そうですよ。由良先輩は弥生に“美羽は照れてるだけで、本当は俺が好きなんだ”ってそれは嬉しそうに」


「前はちゃんと弥生のこと好きって言ってたのに、あんまりです」



それで、最近自分の前に姿を見せなくなったのは、美羽に由良をとられたせいだと勝手に解釈したらしい。




だけど、遊び人て言われてる奴と付き合ったんだったら、それぐらい覚悟しとけばいいのに。


彼女も彼女で“男好き”って言われるぐらいなんだから、遅かれ早かれ別れてただろうなぁ。




まるで他人事のように、見ている美羽。



叩かれた頬がジンジン痛み出し、とんだとばっちりを受けたと、ものすごく腹が立ってきた。




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