籠のなかの花嫁
「あんまりです?何の関係もないのに、アンタ等二人に巻き込まれた美羽の方がよっぽどあんまりよ」


「まったくだわ。美羽に謝りなさいよ。美羽は由良の被害者よ。あなた達の恋愛にはまったく関係ない」


「怒るんだったら由良に怒りなさいよ」



さすがに3年生の迫力に負けたのか、1年生は皆半泣きになりながら美羽に頭を下げた。



こういう時に、本当に友人達の存在に救われると美羽は思う。





だが、突然訳も分からず殴られたのだから、簡単に許す気にもなれなかった。



そこで、ある提案をした。



「ねぇ、これからもあなたみたいな子が現われるのはあたしも我慢できないんだ。だからいい機会だし、日向君に言いたいことがあるから、放課後借りるね!」



笑顔で言う美羽に対し、1年生は顔を青くして帰っていった。



他の3年の友人達も一件落着とばかりに自分の席へ戻っていった。




美羽達もまた、お弁当を食べ始めた。




「美羽、由良に何する気?」


「別に何も。ただ、話をするだけ。あたしは日向君には何の感情も持ってないから」



あたしは、普通に学校生活が送られればそれでいい。


さっきみたいに目立ったことはしたくない。


日向君にあたしの気持ちをしっかり言えば、落ち着くでしょう。


あたしの他にも相手は何人もいるんだろうから。






しかし、これがとんでもない展開に発展することなど、美羽もましてや梨奈も想像していなかった。



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