籠のなかの花嫁
「今日ことはもういいから、これからのことを言いたいの」


「これからのこと?」



梨奈に責められ、不貞腐れた由良は顔を上げた。



「穂積さんが言ってたの。“美羽は照れてるだけで、本当は俺が好きなんだ”って日向君が言ったって」



そう言うと“あー・・・”と言いながら目を泳がせた。



「今までは何もなかったから、特に言わなかったけど、今日ではっきりさせよう?もうこんな面倒なことに巻き込まれたくないし」


「はっきりさせるって、俺との関係?」



美羽と梨奈が嫌なオーラを出しまくっていることを気にもとめず、由良は笑顔だ。



この男、底無しのバカね。



梨奈は心底由良に嫌気がさした。




「そう。日向君とあたしの関係」


「OK。それで?友人からどんな関係に発展するの?」






発展することなんてあり得ない。



ましてや、彼の想像するような関係になんて。



もし彼と付き合ったとしても、それはあたしの人生の



美羽は含み笑いをしながら、由良に言い放った。





「もちろん、友人以下。ただの知り合いって関係」






“汚点”になるだけでしょ。






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