籠のなかの花嫁
「はっ?」
少しの間の後、由良は我に返ったように呟いた。
「何で?俺達、両想いじゃないのかよ」
「誰がそんなこと言ったのよ」
「言わなくたってわかんだよ。俺が好きになる女は皆俺を好きになるんだから」
美羽と梨奈は顔を見合わせ、呆れるしかなかった。
「あたし、もっとまともな男だと思ってた」
「あたしも」
すると、由良は美羽の手を握った。
「ちょっ」
「なぁ、何でだよ。俺、中宮のことめっちゃ好きなのに」
「あたしは日向君には何の感情もない。自惚れないでよ。自分が好きになった子が好きになってくれるなんて方程式あり得ない」
「そうよ。美羽はアンタに構ってる暇なんかないんだから」
だが、由良は中々美羽の手を離さない。
美羽が手を引っ込抜こうとしてもビクともしない。
困り果てると、由良が問い掛けてきた。
「中宮には、今他に好きな人がいるわけ?」
「え?」
「そう言う奴がいるなら、俺は諦める。だけど、いないなら諦めない」