籠のなかの花嫁
そうすれば、晴太も腕の力を弱め美羽の背中をゆっくり撫でて、優しく包み込んでくれた。




長い間忘れていた、愛情の温かさを思い出したような気がした。




晴太さん、あたしもあなたを愛してるのかも・・・







「・・・・・・美羽?」



完全に力の抜けた美羽に声をかけるが、返答はない。



ゆっくり顔を見てみると




「寝てるし・・・・・」




安心しきったように、微笑んでいるようにも見える表情で晴太の肩に頭を乗せていた。




「気疲れしたのか」



クスッと笑い、晴太は美羽を抱き上げた。




こんなに無防備な姿は初めて見たな。



そんな美羽をいとおしいと思う反面、触れたくて堪らないという気持ちにもなった。




自室のベッドにそっと降ろす。



以前美羽の部屋に勝手に入り、ケンカをしたことを思い出し、自室に寝かせた。



あの時は反省していたが、今では、自室で寝かせる良い口実になったと、思っている晴太。





「愛してる・・・今晩は、離したくない」



深い眠りに就く美羽の頭を撫でながら囁く。



そしてそっと、唇にキスをした。











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