籠のなかの花嫁
二人の気持ちを聞いた由良は



「いつからだよ・・・」



晴太に静かに問い掛けた。



「いつから、美羽と・・・」


「4ヶ月ほど前だ」


「たった4ヶ月かよ・・・。俺は去年からずっと美羽を見てきたんだぞ!なのに、横取りかよ!」


「じゃぁ聞くが、お前は今までに一度でも、美羽にストレートに気持ちをぶつけたことがあるのか?」


「あ?」


「素直に美羽に、好きだと言ったことがあるのかって聞いてんだ」



それには由良は何も言えなかった。



「あんたいつも、“俺には中宮しかいない”って曖昧なことばかり言って、肝心な言葉は一度も言ってなかったよね」



ずっと黙っていた梨奈が口を開いた。



「だけど、ちゃんと想ってたさ!」


「想ってるだけじゃ相手には伝わんねぇんだよ。コイツは特にな」



そう言って、チラッと美羽を見る晴太。



告白をされてからも、晴太の言葉を信用していなかったからだ。




「美羽にはもう、関わるな」




晴太がそういうと、由良は舌打ちをして、その場を去った。





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