籠のなかの花嫁
「まったく、お前の友達は厄介な奴だな」



あの後、話は学校で聞かせてもらうからと言い、梨奈は帰っていった。



二人はというと、公園のベンチに座り、顔を合わさずただただ前を向いて喋っていた。




「・・・・・すみません」


「棒読みじゃ、謝られてる気がしない」



だって、好かれたいと思って接したことなんかないし、ましてや、もう友達とも思ってないし。



美羽は受け取った飲み物を膝に置き、晴太とは逆方向に顔を背けた。




「おい」


「はい?」


「色々してやったんだから、俺には何かないのかよ」


「え、そんな約束してませんもん」


「あ?約束してなくても礼はするもんだ」



もっともなことを言われ、美羽は言葉が出せなくなった。



すると、それがおかしかったのか晴太が笑った。




「何で笑うんですか!」


「ハハハ、いや別に?クスクス・・・」


「もう、やだ・・・」




美羽がそう言ってそっぽを向く。



「まぁまぁ、そう怒んなって。こっち向けよ」


「だってもともとは・・・」




晴太の言葉で後ろを振り向くと、美羽はそのまま固まった。









「どんなに嫌がられようが、俺の気持ちは変わらない」



唇が離れた瞬間、晴太は美羽にそう囁いた。





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