籠のなかの花嫁
“美羽って面食いだっけ?”と呟く梨奈を見ながら美羽は



嘘だよ。

梨奈、ごめん。


本当は、嫌で嫌で堪らなかった。


写真も見せられてなかったし、相手の情報がほとんどない状態での見合いの話に、どれだけ自分はあの二人に縛られているのかと、絶望した。


その上見合いは建前で、結婚は決まったこと。


そしてそれを理由に、見合い前には同棲を強制され、どれだけ窮屈で苦痛な思いだったか・・・



でも──────────




「実際に会って接してるうちにねただの興味だった気持ちが段々変わっていったんだ」


「へぇ〜・・・・」



澄み切った空を見上げる美羽を見て、梨奈はクスッと静かに笑った。




“好きになったんだね、美羽”


“うん”




今なら、素直に頷ける。

彼があたしを求めてくれるように、あたしも彼を求めてる。




美羽は自分の心境の変化に笑ってしまった。








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