籠のなかの花嫁
「あら、なぁに幸せそうな顔しちゃって」


「べ、別にそんなこと」


「ないとは言わせないわよ!彼のことでしょ」


「違うし!」


「この恋する乙女、梨奈さまの目は誤魔化されませんよ」



恋する乙女って・・・


ババ臭いセリフを言う梨奈だが、美羽が恋をしたことを誰よりも喜んでいるのだ。




と、ここで思いついたように梨奈は口を開いた。



「美羽の誕生日ももう少しだけど、彼の誕生日は聞いたの?」


「彼の誕生日?そう言えば聞いたことないなぁ」



首をかしげる美羽に梨奈は慌てたように言った。



「ちょっと!普通好きな人の誕生日って気になるでしょ?」


「・・・そう?」


「美羽!いーい?誕生日っていうのは、その人がこの世に生まれた日なんだよ!」


「バカじゃないんだからそれぐらい分かる」


「じゃぁどうしてこの先が分かんないの!?」


「この先?」



未だに分からない鈍感な美羽に、梨奈は苛立ちが押さえられなかった。




「考えてよ!!彼と出会えたのは生まれてきてくれたからでしょ?生まれてこなかったら二人は永遠に会えなかったのよ?!だから、生まれてきてくれてありがとうって祝ってあげるのよ!!」



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