籠のなかの花嫁
その頃家では、時々時間を気にしながらも、いつものように机に向かっている美羽がいた。



もう1時・・・一緒に暮らし始めてから、こんなに遅くなるなんて初めて。


って・・・・・はぁ、誰かの帰りを気にするようになるなんて。



美羽は自分の変わりように小さく笑った。




ま、晴太さんにも付き合いがあるんだろうし、今までが家に居すぎたんだね、きっと。




とその時─────



ガチャッ



「あ・・・・・」



鍵が開く音とドアが開く音がした。



帰ってきたんだ。



美羽はイスから立ち上がり、部屋のドアを開けた。




「お帰りなさい、晴太さん」


「あぁ、ただいま。美羽」



少しふらつきながら歩く晴太。



近くにいかなくてもお酒の匂いがする。


相当飲んだんだ。




「晴太さん、水を飲んだ方が良いですよ」


「いや、いらない。このまま寝る」


「よくありません。明日も仕事でしょう?二日酔いになったら、大変ですよ」



そう言って、台所で汲んだ水の入ったコップを持ちながら美羽が晴太の傍に行くと




< 142 / 223 >

この作品をシェア

pagetop