籠のなかの花嫁
これは、美羽が心の中でいつも思っていたことだった。
だが、それは梨奈によって大きく壊された。
「人間全員が裏切るって誰が言ったのよ。裏切る時にはそれ相応の理由があるし、それに裏切られた方にも原因があるはずでしょ?一方的に自分が被害者だって思うのは間違ってる!」
それに、と梨奈は続ける。
「美羽は人間の感情が固まりのほうがいいわけ?」
「はっ?」
「あたしは嫌よ。人と人が関わりを持つ時に、不安やぶつかりがない方があたしは嫌」
美羽は分からなかった。
梨奈がどうしてそんなことを言うのか。
その不安やぶつかりこそ、美羽が恐れ、人を遠ざける要因だったのだから。
自分が信じても、いつかは離れていくんじゃないか、裏切られるんじゃないか、その不安がいつも美羽の心を暗くする。
「離れていくんじゃないかとかそんな不安を抱いてまで、どうして人と関わらなくちゃいけないの?どうして信頼しなくちゃいけないの?」
どうしても、保険をかけてしまう。
誰かが離れていっても
「あ、やっぱりね。分かってた。離れてくって」
と考えておけば、傷は浅くて済む。
だが、それは梨奈によって大きく壊された。
「人間全員が裏切るって誰が言ったのよ。裏切る時にはそれ相応の理由があるし、それに裏切られた方にも原因があるはずでしょ?一方的に自分が被害者だって思うのは間違ってる!」
それに、と梨奈は続ける。
「美羽は人間の感情が固まりのほうがいいわけ?」
「はっ?」
「あたしは嫌よ。人と人が関わりを持つ時に、不安やぶつかりがない方があたしは嫌」
美羽は分からなかった。
梨奈がどうしてそんなことを言うのか。
その不安やぶつかりこそ、美羽が恐れ、人を遠ざける要因だったのだから。
自分が信じても、いつかは離れていくんじゃないか、裏切られるんじゃないか、その不安がいつも美羽の心を暗くする。
「離れていくんじゃないかとかそんな不安を抱いてまで、どうして人と関わらなくちゃいけないの?どうして信頼しなくちゃいけないの?」
どうしても、保険をかけてしまう。
誰かが離れていっても
「あ、やっぱりね。分かってた。離れてくって」
と考えておけば、傷は浅くて済む。