籠のなかの花嫁
「え?」
一瞬の静寂の後、晴太から疑問の中に戸惑いが混じった声が出た。
「キス以上はまだ待ってほしいですけど、ね・・・」
そんな晴太にお構い無く、話を続ける美羽。
同じこと、二度は言わないから。
こんな恥ずかしいこと二度も言えない。
赤くなった顔を見せたくなくて俯いていると、自分の足元に晴太の足が見えた。
顔を上げようとした瞬間
ギュ───────────
「それは、本気か?」
晴太の腕に抱き締められていた。
「・・・本気」
そう言うと、腕はさらに強さを増した。
「俺の都合良く聞こえてるわけじゃないんだな?」
「はい。これはあたしの意思」
認めたくないと思ってた気持ち。
誤魔化そうと思った気持ち。
でも、あなたがあまりに真っすぐに想ってくれるから・・・
「やっと、通じ合えたんだ・・・」
噛み締めるように呟く晴太を見上げる。
あなたは、あたしの想いでこんなに笑ってくれる。
だったら、あたしはいつまでもあなたの傍にいるから・・・・・・
美羽は晴太の胸に頬を擦り寄せた。